INTERVIEW

職人インタビュー

― 現代と伝統のバランス

現代の建築やデザインの中で、左官の技術がどのように活かされていると思いますか?

海外ではモールテックス(Mortex)などの高性能な装飾用仕上げ材が開発されていて、壁や床だけではなく、テーブルやキッチンカウンター、シンクの表面などにも仕上げ材として使われるようになってきています。まだ価格も高く、あまり一般的には普及されていませんが、同じような国産の材料が広く普及するようになったら、壁以外のダイニングテーブルなど、大きな家具の仕上げ塗り作業などでも左官の技術は活かされてくると思っています。

左官技術を守るために心がけていることはありますか?

新しい素材や技術がどんどん出ているので、優れた素材や技術、今の素材のままでも強度を出せる機械などは積極的に取り入れていっています。

― 後輩育成について

技術の伝承や次世代への育成についてどのように考えていますか?

うーん。今まで自分の周りに若い方が居なかったから…、考えたことがなかったのですが、職人になりたいという若者が少ないのが現状ではありますね。他の職人仲間の中でも、若手はいるが数人しかいない。中には修業2〜3年で独立してしまう方もいるようで…、正直技術が足りず大丈夫かなとも思います。

ジオ・ナビオさんと一緒に職人を育てていく取り組みとして、専門学校への企業説明会はどうでしたか?

先日、ジオ・ナビオさんと伺った小倉の学校では、エクステリア課に6人くらい生徒さんがいました。
そのあと、自分たちの作業現場を見学に来た子もいます。女性の生徒は居なかったのですが、「模様付け」などは力仕事ではないので、女性でも活躍できる仕事ではないかな?と思っています。住宅のエクステリアはやはり施主様の奥様(女性)の意見が反映されることが多いので、女性の感性も活かされると思います。

左官職人として「こういう人が向いている」と思う性格や資質はありますか?

几帳面、真面目さ、素直さが大事ですかね。あと、想像力は必須ですね!自分は、作業に入る様にまず頭の中で作業イメージを組み立ててから始めます。そうすると問題点にもすぐ気が付けるので。実際の現場で「あ、図面上では予定してないパイプがある」など、わかるようになるんです。自分は心配性なので、いつも「大丈夫かな?大丈夫かな?」と慎重に作業を進めています。

― 未来への展望

左官技術の未来についてどんな可能性を感じていますか?

左官屋さんとしては、結構変わってきていると思います。左官はできて当たり前、ブロックもフェンスもできて当たり前。さらに、新しい材料が増えているので、外構工事だけではなくモールテックスの例のように、テーブルの仕上げなど家具の業界でも活躍できる日が来る可能性があると思います。昔、KITTE(デパート)の1店舗の左官を任された時があり、その時は他の店舗の他の業者さんや職人さんたちもいたのですが、ある店舗では石膏でレンガ風のものを作っていたり、とても面白そうでした。そこの現場には女性の職人さんもいましたね。自分はジオ・ナビオさんから頂く依頼が住宅中心なのですが、店舗を中心にされている職人さんとは、同じ左官でもまったく違うなと思います。住宅と店舗では使う材料や技術が異なるので、とても勉強になります。

将来的に挑戦したいことや夢はありますか?

新しい材料をたくさん試してみたいですね。

<あとがき>

新しい材料や技術をどんどん試してみたいという好奇心と、20年続けても学ぶことばかりとおっしゃる飽くなき向上心、ものづくりへの情熱ときめ細かな心遣いが前田さんの職人技に表れているでしょうね。素晴らしい左官技術をぜひ次世代へつなげて頂ければと思います。

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