ジオ・ナビオには長年の経験を積んだ熟練職人が多数在籍しております。中でも最も信頼のおける左官職人の一人である前田祐輔さんに、左官業の仕事の内容や面白さ、将来の展望などをお伺いしました。
左官の仕事を始めたきっかけは何ですか?
学校が建築課で「大工」にも興味があったのですが、父親と同じ左官職人の仕事をすることに決めました。18歳から続けて22年(現在40歳)になります。最初、父(現在70歳)は別の会社にいたのですが、当時ジオ・ナビオさんにいた方からお声がかかり、それからずっと関係が続いて、もう17〜18年ほど一緒に仕事をやらせてもらっています。
お休みの日はどんなことをして過ごしていますか?
日曜日が定休日で、ゴルフに行きますね。コンクリートを扱うので、雨の日は作業できないんです。雨天になった場合は、だいたい家でゴロゴロしています。今朝は雨だったので現場作業はお休みになりましたが、午前中に晴れてくると父親が「今から行くか」と言い出しますね(笑)。
左官業という職業は、どういったお仕事なのでしょうか?
壁や天井に塗装するいわゆる左官だけではなく、自分たちは外構全般を行っています。ブロック積みから、門扉づくり、フェンスなどもやりますし、重機で土を掘ったりする以外はすべて行いますね。たまに土を掘る職人さんが忙しくて現場に来られない場合は自分たちで行うこともあります。
現場での作業は一人作業になりますか?それともチームを組んでの作業になりますか?
基本は父親と2人で行っています。やはり1人より、2人でやる方が早いので。場合によっては、父親と別々の現場に分かれていくこともあります。また、チームでも作業を行うこともあります。夏場のコンクリートは乾くのが早いので、4〜5人で現場に入りコンクリートを押さえる作業を一気に行うこともあります。
外構工事はどのくらいの日数がかかるものなのでしょうか?
内容の大変さによりますが、2週間くらいの現場が多いですね。ジオ・ナビオさんから頂くお仕事は、デザインに凝った面倒くさい現場が多くて…(笑)。普通にポストだけ建てるならすぐ終わるのですが、タイルを張って門柱を立てて・・といった凝ったものが多いです。デザイン性が高いと時間がかかってしまうのですが、自分はこういった依頼を早く終わらせることを心掛けています。たくさん依頼を頂いて経験を積ませて頂いているので、その分施工スピードが速いところは自信がありますね。
左官の仕事にはどんな魅力がありますか?また、やりがいや誇りに思う瞬間はどんなときですか?
忙しいしきついけど、キレイにできた時、完成した時はやっぱり楽しいです。モノづくりが基本好きなので。
作業中に特に気をつけていることやこだわりはありますか?
完成した時にトータルでキレイになるように気を付けています。やはりタイルなどは切断することなく、加工せずにそのまま使う方が、仕上がりの見た目がキレイなんです。タイルを地面に直線で貼っていて、途中で門柱を置いたらタイルエリアにはみ出てくることがある。門柱がちょっとでも入るとおかしいから、自分はブロックをつくるところから引き算しながらやります。図面には概ね記載がありますが、微妙な加減については現場に任せてもらっています。「意図があってこうしているのか?」と思う場合は、会社に確認するようにしていますが、ここは経験値ですね。失敗して学ぶこともあるとは思うのですが。
また、作業中の安全面について特に気を遣っています。お家が先に完成して、外構工事が間に合ってない場合は、施主さんが引っ越して来られて外構の工事中から住まわれていることもあります。今施工に行っている現場も既に住まわれているお家の外構リフォームで、奥様が小さい赤ちゃんを抱いて出てこられるので、工事中の道で転んだりしないだろうかと心配になります。なので、玄関からの道を施主様用に確保して、作業を進めることもありますね。
これまで手がけた中で、特に印象に残っている仕事や現場は何ですか?
とある企業の社長さんのお宅を行わせて頂いた時ですかね。家が大きくて大変でした。庭の石張りを行ったのですが、30cmくらいの石を1cm目地で埋めていくんです。庭の広さが何十平米もあって…、石張りだけで2週間くらいかかりました。石の形もそれぞれなので、形に合わせて一つ一つパズルのように選んで埋めていくんです。その時は「なんでこんな大変なことをしているのだろう…」と思いながらも、完成したら「まぁ良かったな」と思いました(笑)。それに普段、一般家庭で使うことのない珍しい材料を使うことができたり、これまで扱ったことのないような材料もいろいろありましたね。
左官職人ならではの技術や難しさについて教えてください。
難しいことしかないですね。20年やっていても、まだやったことのない施工内容もあります。また材用が違うと技術も変わってくる。リフォームなどでは、現在は使われていない昔の材料を扱わなければならなかったり、まだまだ覚えていくことがたくさんあります。また、フェンス、ブロックなど、法律が変わって基準が厳しくなり、積み方も変わってきています。昔は“これで良し”とされていたやり方が、今は通じないので基準の変更にも対応していかなければならないです。施工が完了した後は、ハウスメーカーの検査確認が入りますね。完成後3か月間などの間に調整を行うこともあります。やり方が悪いわけではないのですが、コンクリートは天気の状況で状態が変わるので、例えば夏は30分で固まるのに、冬は1日がかりで乾燥させる必要があるなど、状態を見て多少工夫が必要になってきます。その足し算・引き算は職人の判断になります。
現代のエクステリアにおいて、左官技術が求められる場面はどんなときですか?
漆喰の塗りは、センスと多少その職人の癖が出ますね。“こて圧”などでその方の癖が出るので…、一人ひとり模様が違います。もし、同じ模様を作ってと言われても基本再現するのは無理ですね(笑)壁以外も門柱は模様をつけることが多いですね、それかタイル。塗料みたいな材料を使うのですが、5分くらいで模様がつかなくなっちゃうので、塗料が手に付いてしまって洗いに行きたくても、乾く前に模様をつけないといけないので…、そういう時は手を洗いに行く暇がないです(笑)。
仕事で使う道具や材料にはどのようなこだわりがありますか?
作業が楽になるものは積極的に取り入れていますね。最近は、体の負担を減らせる便利な機械が出ているので。例えば、コンクリートを叩く時、昔は人の手でたたいていたものを最新の機械を導入してリモコン操作で行っています。たたきの作業が機械によって均一に行われるので、コンクリートの強度も高くなり、仕上がりも質も良くなります。新しい道具や材料については、同じ左官職人仲間ともよく話をします。使ってみて「これはどうだった」といった情報交換をしますね。